Ⅱ:ピアノの内部に印をつけるとき
→ 動画N0.56「ピアノの内部に印を付ける方法」参照
1.ダンパーの上に印をつけるとき
粘着性の丸い小さいラベル(エーワン、コクヨ、ニチバンなどから出ているカラーラベル。「タックタイトル」などの商品名)が便利。はがしたあと、粘着剤が残らない「貼ってはがせるタイプ」もある。いずれにしても、演奏後、簡単にはがすことができるように、ダンパーにラベル全体をきつく貼り付けずに、ラベルの端を浮かせて貼っておくといい。
その他、Post-it を細く切って使ってもいいし、Blu-Tack(下記3.を参照)も使うことができる。ダンパーは繊細で、強く押しつけたり前後左右に動かしすぎると、フェルトの部分も含めて傷みやすいので、丁寧に扱う。ラベルをはがすときには、ダンパーの長辺方向(縦向き)にはがす。横向きにはがさないこと。
ダンパーの表面にチョークを使って印をつけてはいけない。
2.アグラフ、駒、弦の端に印をつけるとき
Post-itかそれに準ずるもの、ヤマトの「付箋メモックロールテープカッター付き」等が便利。後者はハサミがいらないので便利。Blu-Tackも使うことができる。
3.弦上に印をつけるとき
弦上の(振動の)節(ふし)に印をつけるときは、粘着性の小さなものかBlu-Tackが使える。
私(井上)は、Scotch社の「ドラフティングテープ(仮止め用紙テープ)」は、薄くて粘着力が強すぎず、はがしやすい。はがしたあとも粘着成分が弦に残らないので安心して使うことができる。
Blu-Tack(ブル・タック)は、Bostik社(オーストラリア)の、ポスターなどを壁に貼るときに使う粘着ラバーで、ポスターなどは両面テープや画鋲が使えないときにも使える。練り消しゴムのような「とりもち」状で、好きな大きさ、長さに形作ることができ、対象にぴったりくっつくが傷めない、はがした後も傷や粘着物を残さない、という便利なものである。但し、質量があるので、弦上に貼るときは薄くしないと、弦をミュートしたような音になってしまう。日本製では、コクヨ「ひっつき虫」という同様の製品がある。
糸を節に巻きつける方法もあるが、糸をつけるとき、とるとき、両方とも時間がかかり、意外と面倒である。チョークは使ってはいけない。
いずれにしても、これらのものを巻線に使用する場合は、念のため、巻線の内部に粘着物が残っていないかどうかを、演奏後に十分に確認するのがいい。
(調律師は、調律の際に弦にチョークで印をつける人もいるし、マジックインキで印をつけている人を見たこともある。そんなことをしていいのか、と尋ねたら、後でアルコールでふき取るから大丈夫、とその人は言っていた。実際、調律師の考え、言うこと、やることは、人によって様々である。)
4.弦の端にある駒付近のフェルトの面に印をつけるとき
印をつけたいところに小さく切った紙を置く。チョーク、Blu-Tack、粘着力があるもの(Post-itも含む)は使えない。フェルトを毛羽立たせるものは避けなければならない。